Neko

夢の汽車に乗って 隣町

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yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


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隣町

あれは確か・・・

私がまだ
小学校に上がるか上がらないかの頃の事です。

季節は・・・そう、夏だったと思います。

田舎に住んでいた私は
祖父の用事について従兄弟達数人と一緒に
隣の町まで歩いて行く事になりました。

当時、昭和三十年代後半の農村では
未だ今みたいに
各家庭に車がある時代ではありませんでした。


隣の町までは山の谷間に沿った林道のような砂利道を
左手に川を眺めながら歩きます。
一本道で当然近道なんてありません。
大人の足でも二時間くらいだったと思いますから
子供だとゆうに片道三時間はかかったはずです。

それでも私達がどうしても祖父について行きたかったのには
当然訳がありました。

それはアイスキャンデーです。

隣の町には
その界隈でただ一件のアイスキャンデー屋さんがあったのです。

今なら、そんな苦労をして歩かなくたって
すぐ近くのコンビニで買って帰れば
アイスキャンデーが溶ける前には家に着きます。

でも、あの時代は大人の足でも二時間の道。
アイスキャンデーを溶かさずに持って帰れる訳もありません。

何時間かかろうが自分で歩いて行かなければ
アイスキャンデーは食べられなかったのです。

しかも、そのアイスキャンデー屋さんも
なんせ北海道の田舎の事ですから
営業をしているのは七月と八月の二ヶ月間だけでした。

その二ヶ月の間に祖父に隣町への用事が出来るなんて
それすら滅多にある事では無かったのですから
祖父が隣町に行くと聞いた時
子供達は何をさておいてもついて行くと利かなかったのです。



私達は時には手を繋いで歌を歌いながら
時には追い駆けっこをしながら歩いていました。

祖父はニコニコしながら言います。

「おい、あんまり先に行ったら迷子になるぞ!」

とか、言いながら
いつも私達に少し遅れて歩いていました。


今、思えばきっと
誰かが遅れたり道から逸れたりしないように
私達を後ろから見守りながら歩いてくれていたのでしょう。

でも遊びに夢中の私達は
そんな事など考えもしませんでした。


歩き始めるとアイスキャンデーの事なんか忘れて
私達は遊びに夢中になっていました。


「よし、今度は尻取りをしながら行こうぜ」

「じゃ、僕からで良い?」

「何でだよ? 俺からだよ!」

「嫌よ、私が先!」


でも、二時間も経つとさすがに疲れも出て私達の口数も
動きもシュンとなっていました。

そうこうして歩いていたら
従兄弟の中の年長者が道路脇の草を一本抜いて私達に言いました。

「おい、これ知ってるか?」

そう言いながら草を唇に当てると
最初はビービー鳴らしてから
それからメロディーを鳴らし始めました。
草笛です。

「あっ、その曲知ってる!」

「ねぇ、ねぇ、どうやるの? 教えて!」


一気に元気を取り戻した私達は
そんな調子でワイワイ言いながら又更に歩き続けました。



どれくらい経ったでしょう。

「あー! 町が見えたよ!」

先頭を歩いていた従兄弟の一人が
叫びながら小走りに戻ってきました。

「ほら、あの先!」


それを聞いて私達は我先にと走り出しました。


そしてまもなく山間を抜け景色が開けてくると
そこには幾つもの家並みが見えてきました。

見覚えのある景色。
見覚えのある家々。

着いたそこは私達が住んでいた集落でした。





「行きと帰りの記憶がごっちゃになってるんじゃないの?」

「なんせ子供の頃の事でしょ?
 記憶が曖昧でも仕方がないよね」

「夢でも見てたんじゃない?」

きっと、読んだ皆さんはそう言うでしょうね。
或いはそうだったのかもしれません。
でも、今はもう確かめる術もないんです。

あの時、一緒に行った祖父はもちろんですが
あれから数年の内に
まるで<何か>に祟られでもしたかのように
或る従兄弟は病気で、或る従兄弟は事故で
又、或る従兄弟は行方不明になってしまい
誰にも確認が出来ないでいたのです。

何故か私一人だけが生き残ってしまいました。
それが良かったのかどうかは解りません。
あの日の真実を誰にも確かめる事も出来ないまま
今も答えの出せない問いに繰り返し自問自答を続けています。

夏が来る度に・・・


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