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夢の汽車に乗って 迷い星 <前編>  ~七夕ストーリー~

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yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


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勤続三十年という事で
会社から一週間のリフレッシュ休暇をもらった事もあり
野暮用ついでに俺は久しぶりに故郷に戻った。

十年前に父親を、そして三年前には母親を亡くして
もう戻る事もないと思っていた故郷だったが
実家の土地を買いたいという人がいるという連絡が
仲介を頼んでいた不動産屋から入ったので
その手続き等もあったし
何より、お盆を二ヶ月後に控えて久しぶりの墓参りもしたいと思っていたのだ。


故郷に帰るに際して地元の友人には連絡をしていたので
その夜は友人達と繁華街の居酒屋に集まった。

高校の同級生で今でも一番親しい友人の晃とその奥さんの有希。
そして、高校時代に晃と通っていた喫茶店で親しくなり
それ以来付き合いの続いている智宏と奥さんの優子。
そして、早めに店じまいをして駆けつけてくれたその喫茶店のマスターの祐二さん。
何故か当時喫茶店でバイトをしていた真美ちゃんもいた。
何と今はマスター婦人なんだとか。
歳も確か十五歳はマスターより下だったはずだ。


「ところで、どうなんだよ?」

タバコに火を付けながら晃が訊いてきた。

「何が?」

その質問の意味を解っていながらトボけたフリをして俺は返した。

「何がじゃねぇよ。結婚だよ、結婚!」

「あぁ」

「あぁって。お前ねぇー、結婚する気はないのかよ?」

「いや、別に。縁があればいつだってするさ」

「確か、二十年前も同じ事を言ってたよな? 十年前もだけど」

「そうだっけ?」

「お前ねぇ-、他人事じゃないんだぜ。解ってる?」

「そうは言ってもなぁー。
 でも、いくら結婚をしたいって言っても一人じゃ出来ないしさ」

「理想が高過ぎるんじゃないですか? 和也さん、モテそうですもねぇー」

焼き鳥を頬張りながら真美ちゃんが口を挟んできた。

「そんな事はないよ」

「ダメですよぉー、適当なとこで手を打たないとぉ。
 私みたいに、ねぇ?」

真美ちゃんはそう言うと悪戯っぽく笑って祐二さんを見た。

「適当なとこで手を打ったのは俺だよ。
 誰だっけ? 酔ったフリをして俺に無理矢理キスをしてきたのは?」

お返しとばかりに祐二さんが真美ちゃんに言った。

「ひどーい! アレはマスターがしたそうにしてたからですよぉー」

「まぁまぁ。痴話ゲンカは帰ってからにしましょ!」

笑いながら有希が二人をなだめた。

「でもホント、不思議よね。うちの人と違って優しいしハンサムなのに」

晃の顔を見ながら有希が言った。

「おいおい、それはどういう意味だよ?」

「そういう意味よ」

「意味が解んないんだけど」

晃が口を尖らせた。

「いやぁーねぇー 自分を知らないって怖いわぁ」

「すまんね。それが解ってりゃお前とは結婚してないよ」

「あら、ねぇ? 聞きましたぁ、奥様?
 どの口が言ってるのかしらねぇ-?」

有希が隣の優子の膝をチョンと叩いて答えを促した。

「それ私が答えるの?」

優子が苦笑しながら有希に訊いた。

「えぇ、言って差し上げたら?
 『結婚前の浮気がバレた時に泣きながら土下座までして
  もうしません、もうしませんって謝った後で
  有希さんに結婚をせがんだのは晃、お前だろー?』ってね」

すまし顔で有希が答えた。

「おいおい、いったいいつまで俺は十字架を背負わされるんだよ?
 もう何十年経ってると思ってる? いい加減に時効にしてくれよぉー!」

「だって面白いんだもん」

「あのなぁー ・・・もう!」

どう言っても勝ち目のない晃はグイッと一息でビールを飲み干した。

「はい、これで私の387連勝ね、やったぁー!」

有希はわざと大袈裟に万歳をしてみせた。

「なんでいっつもこうなるんだよ?
 今日はみんなで和也を攻めるんじゃなかったのかよ?」

「なんで和也クンを? そんなひどい事、私ぃ出来なぁーい。
 私は和也クンの味方だしぃ」

「おいおい、お前こそ、どの口が言ってるんだよ?
 和也が来る前は『今度こそ絶対に和也クンを結婚する気にさせる』
 とか言ってたくせに」

「このク・チ。女の口はいっぱいあるのよ」

有希が笑いながら人差し指を自分の口に当ててみせた。

「お前なぁー」


相変わらず何を言っても漫才に聞こえるくらい息もピッタリの仲の良い夫婦だ。
結婚をしてもう三十年近く経つというのに昔と全く変わっていない。
今年のクリスマスの頃には息子さん夫婦に待望の赤ちゃんが産まれるんだとか。
きっと二人共、良いじーちゃんとばーちゃんになるに違いないと思った。


二人を見ながらそんな事を考えていると今度は優子が話をぶり返してきた。

「ねぇ。和也さんって、もしかしてこっち系だった?」

右手の甲を左の頬につけてオネエポーズで優子が言った。

「マジかよ?」

智宏が俺の顔をマジマジと見た。

「な、訳ないよ」

俺は思わずマジレスをしてしまった。

「じゃ、どうして? 別に童貞を守ってるって訳でもないだろ?」

智宏が言うと女性陣がザワついた。

「キャー! 和也クンって童貞なの?」

「あーん、もう少し早く知ってたら私が奪ってあげたのにぃ-」

「おいおい、お前ら酔っ払ってんじゃねぇーよ」

晃が笑いながら言った。
それに被せて更に智宏が言った。

「あっ、童貞はないか? 彼女いたもんな。じゃあ、なんで?」

俺は立て続けに振られる質問攻めに苦笑をするしかなかった。

「ねぇ、そう言えば・・・」

晃の顔を伺いながら急に真面目なトーンで有希が言った。

「今更、こんな話を言って良いのか判らないけど」

晃は黙って頷いた。
それを見て有希は言葉を続けた。

「美奈子ちゃんね。一昨年に離婚したのよ。
 ご主人のDVが理由だったみたい。
 今は信金時代の経歴を買われて商工会議所で働きながら
 娘の真奈ちゃんと二人で駅裏のマンションに住んでいるわ」

突然、出てきた美奈子の名前に俺は思いっきり動揺をした。


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