Neko

夢の汽車に乗って そして誰もいなくなった ~ショートショート~

プロフィール

yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


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夕食後の団欒がそこにあった。

和気藹々。
まさにそんな言葉がピッタリの光景。

いつものように携帯ゲーム機を片手にソファに座り
テレビをチラ見している長女。

部活疲れで眠たいのか?
いつもよりかなりハイテンションで喋りまくる次女。

点いていないストーブの前で寝転がっている猫。

平和な時間だ。


テレビでは嵐が歌っていた。
するとそれを観ていた父は娘らに訊いた。

「そういやさ。嵐を一文字で言うと何か知ってる?」

「漢字で<嵐>じゃないの?」

「バカか。それじゃ問題にならんだろ?」

「じゃ、何?」

ニヤリとするとしたり顔で父は言った。

「降参かな?
 じゃ、しゃーない。教えてやろうか?
 それはな。ズバリ!<あ>らしいぞ。
 <あ>らしい、<あ>らし。
 嵐だけに? ガハハ♪」

そう言うと自分の言葉にウケたのか
父は大きな声で勝ち誇ったように笑った。


シラケた表情の娘達。
冷たい視線が父を突き刺す。

「えっ? あれ? なんで? 面白いべ?」

それに答えずに娘達は見合うと無言の会話をした。

『どうする? 一応、笑っておく?』

『いや、ここで甘やかすとクセになる』

『そしたら放置?』

『当然!』

長女と次女を交互に見た父は
娘らの反応の無さに焦りの色を隠せない。

『ヤバい、やっちまったか?』

焦る父。
その額からはテカる脂分に交じった冷や汗。

テレビではきゃりー・ぱみゅぱみゅが明るく歌っていた。
それを観た父は思い付いた。

「あっ、そうだ! こんなの知ってる?
 早口言葉なんだけどさ。難しいぞお~」

あくまで無反応な娘達。
現実を受け入れられずに独り突っ走る父。

「かえるぴょこぴょこって知ってるだろ?
 あれのハイブリッドバージョン!
 お前ら、言えるか?」

最早、娘らの反応すら確かめようともしていない。
いわゆる<必死>

「かえる、不二家、タヌキ、きゃりーぱみゅぱみゅ。
 これを順番に続けて言えるか?
 先ずは、かえるだ。いいか? ゆっくり言うぞ。
 かえるぴょこぴょこみぽこ・・あれ?
 かえるぴょこぴこ・・えっ? あれっ?」


話が先に進みそうもないので私が解説をしよう。
父が言いたかったのはこうだ。

 かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ。
 合わせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ。

 不二家ぺこぺこみぺこぺこ。
 合わせてぺこぺこむぺこぺこ。

 タヌキぽこぽこみぽこぽこ。
 合わせてぽこぽこむぽこぽこ。

 きゃりーぱみゅぱみゅみぱみゅぱみゅ。
 合わせてぱみゅぱみゅむぱみゅぱみゅ。

さぁ、父よ。名誉挽回のチャンスだ!
ファイト!
まぁ、無駄だとは思うけどね。


「わ、分ったか?」

再び、娘らの無言の会話。

『?』

『面白いから黙って聴いてよう』

『らじゃ!』


父は起死回生とばかりに声を張り上げた。

「じゃーん! 超ムズハイブリッド早口言葉ー!
 かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ。
 合わせてぴょこぴょこむぽこぽこ。
 不二家ぺこぺこみぺこぺこ。
 合わせてぺこぺこむぺこぽこ。
 タヌキぽこぽこみぽこぽこ。
 合わせてぽこぽこむぽぽぽこ。
 きゃりーぱむぱむみぱむぴゃむ。
 合わせてぱみゅぴゃむむぱむぱむ・・・
 ・・・はぁ・・・
 はぁはぁ・・・ぜぃぜい・・・」

息も絶え絶えとはこのことか?
軽ーく脳内酸欠状態?
まぁ、結果は見えていたけどね。

次女に目配せをすると
そそくさとソファを立ちトイレに向かう長女。

追いかけるように立ち上がると二階へと上がった次女。


「あれっ?」

父が見回した時、そこにはもう誰もいなかった。

「あれ? あれっ?」

その時、ストーブの前の猫が
眠りを覚まされて迷惑そうに一声<ミャー>と鳴いた。

それから猫は大きく伸びをすると
チラッと父を見て・・・

そして、猫もその場からいなくなった。



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