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夢の汽車に乗って プレゼント  ~クリスマスストーリー 前編(3-1)~

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yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


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「お前は全然変わらないなぁー すぐ解かったよ」

何年かぶりで会った友達に良くそう言われる。
多分、喜んで良いことなんだろうけど
時々複雑な気持ちになったりもする。

「そんなに俺って大人っぽくなってないのかなぁー?」

なんてね。

でも、平均的に男は解り易い方なんだと思う。
例え、髪が可哀想なくらい薄くなっていようが
服のサイズがスリーサイズアップしようが
基本的に見た目それ自体はそんなに極端には変わらない。

ところが女子は劇的に変わるなんてことが多々ある。

当たり前の話だけど中学の頃はすっぴんで
オシャレなんかには縁が無かったような女子でさえ
十数年も経って社会人になると
化粧をして髪を染めたりパーマをかけたりするようになる。
ましてや髪型はショートカットとか
せいぜいポニーテールや三つ編みくらいで
尚且つ、制服姿やジャージ姿しか見ていなかったりすると
スーツ姿やおしゃれなワンピースを着ているだけで
そりゃイメージからして根本的に変わってしまう。

そうなると男にはもう誰が誰だかすら解らなくなるのだ。
いや、それは俺だけなのかな?



このお盆に中学を卒業してから初めての同窓会があった。

みんなもう三十歳。
外見の変わった変わらないもあるだろうけど
それ以上にきっとみんな生活自体の方が変わっているだろう。
サラリーマンをしている奴とか自分で商売を始めた奴とか
社会人としてもそれなりにいっぱしになっているんだと思う。
結婚をして子供ができた奴もいれば
風の噂ではもう離婚している奴もいるんだとか。

多かれ少なかれみんな変わっているはずだ。
そんなみんなと十五年ぶりに会うのが楽しみだった。



「おー、高代じゃないか?
 なんだ、お前は変わらないなぁー」

「えっ?」

「俺だよ、俺。久保田だよ」

「あー、あの久保田か?」

そこにいたのは紛れもなく中学時代は野球部のエースで
しかも成績も学年でトップクラスで女子にもファンが多かった久保田だった。
中学時代は仲の良いグループの仲間だったはずなのに
すぐにはそうと気が付かないくらい当時の面影は既にほぼ無い。

「なんだお前。随分と恰幅が良くなったな?」

「あはは、遠慮せずに太ったと言ってくれ。
 事実だ。がはは!」

久保田はそう言うと豪快に笑った。
久保田と言えば中学の頃は
どちらかというと理知的なイメージだったはずなんだけど
今はバリバリの営業マンだという話だから変われば変わるものだ。

「そういや結婚したんだってな?
 幸せ太りってやつかい?
 毎日、御馳走ばっかり食べ過ぎなんじゃない?」

「まぁな。確かに御馳走は食べてるな。
 だが、かみさんの手料理じゃないぜ。
 うちのやつは料理はからっきし下手だからさ」

「良いのか、そんなことを言って。
 何処かで奥さんが聴いているかも知れないぞ」

「かまわんさ、事実だ(笑)
 で、家でほとんど食事をしてなくてな。
 ほとんど毎晩接待だなんだと飲み歩いているって訳さ」

「そりゃ太るな。
 でも、そんな生活ばかりしてたら早死にするぞ」

「あはは、かもな。
 まぁ、確かにかみさんの手料理ばかりを食べていたら
 俺も小食になって少しはお前みたいにスマートでいられたかな。
 でもな・・・」

そう言うと久保田は俺に耳打ちをするように小声で呟いた。

「うちのやつは料理は下手だけどアッチの方は凄いんだぜ。
 だから、毎晩飲み歩いても俺は浮気はしていないんだ」

「なんだそれ? 自慢かい?(笑)」

「がはは」



「あら、楽しそうね」

そう言って声をかけてきたのは
見たことがあるような無いような着飾った二人の女性だった。

久保田と俺が顔を見合わせてキョトンとしているのを見て
その片方が笑いながら言った。

「あら、私達が美人になり過ぎていて解ってないって顔ね?」

「あっ、いや・・・」

「じゃ、私は誰?」

「えーっと・・・」

「やっぱり解ってないんだ? ショックだわー」

「いや、ちょっと待て! ここまで出かかってるんだ」

苦しそうに久保田が言い訳をしながら俺に援護を求めた。

「俺? いや、その・・・」

俺達がしどろもどろになっているのを見て
クスクス笑いながらもう一人が訊いた。

「じゃ、私は解る?」

「えっ? えーっと・・・***」

「えっ? 何? もう一度言ってよ」

「***」

「もう! はっきり言ってよ。
 あー、本当は解ってないんだ?」

ちょっと拗ねたような仕草をしながら悪戯っぽく笑ったその笑顔は
どんなに変わっていても忘れるはずがなかった。
柴田みゆき。初恋の人だ。

「柴田・・・だろ? 柴田みゆき」

「きゃー、嬉しい! 本当に覚えていてくれたんだ?」

「ねぇ、じゃ私は?」

最初に訊いた女子が不満そうに訊いてきた。

「えーっとねぇ・・・」



「加藤裕子クンだろ?」

その声に振り向くとそこには当時担任だった岩崎先生が笑顔で立っていた。

「キャー! 先生!」

加藤裕子が嬉しそうに叫んで岩崎先生の手を握ると
飛び跳ねながらブンブンとその手を何度も上下に振った。

「おいおい」

笑いながら岩崎先生は言った。

「そのくらいで勘弁してくれ。
 歳を取ると関節が外れやすくなるんだから」

「いやでも、先生は全然変わってないですよ」

久保田も先生に握手を求めながら言った。

「そりゃ、君達を担任していた頃は
 私ももう四十歳を過ぎていたからな。
 君達ほどは変わっちゃいないさ。
 それにしても、君達ももういっぱしの社会人って感じだな。
 そういう君達を見るのも先生冥利に尽きるよ」

岩崎先生は俺達を見回すと嬉しそうに言った。



同窓会が終わって二次会に出る話になった。


「高代はどうする?」

久保田が俺に訊いた。
他の男連中も一緒だ。

「もちろん付き合うさ」

「良し、そうこなくっちゃ。
 柴田、お前も来るだろ?」

「ごめん、娘が独りで待っているから」

「そっか、残念だな。なぁ、高代?」

久保田は俺の肩を抱きながらそう言った。
当時、仲の良かったグループの一人だった久保田は
柴田みゆきが俺の初恋の相手だと解っている。

「あぁ、そっか。じゃ、また今度の時にでもね」

内心ではガッカリしながらも俺は努めて平静に答えた。

「うん、ごめんね」

「あら、私はとことん付き合うわよ」

加藤裕子が両手を広げて大袈裟な格好で言った。

「えー? お前かよ?」

「あら、失礼ね」

加藤裕子がふくれっ面で文句を言った。

「これでも会社では人気ナンバーワンなんだからね」

「何処のキャバクラだい?」

「まぁ! みゆきぃー 男子が虐めるぅー」

「男子は昔から変わらないのよ。
 好きな子にはわざと意地悪をするの」

慰めるように
でも半分笑いながら柴田みゆきは加藤裕子に言った。

「だよねぇー 美しいって罪なんだわ」

しょってる加藤裕子。

「そうそう、だから二次会では存分に魅力を見せつけて来たら?」

「おっけー」

自信家は立ち直りも早いらしい。

「あっ、そうだ! ねぇ、せっかくだし連絡先の交換しておこうぜ。
 また集まりたいしさ。なぁ?」

久保田が俺の肩をポンと叩きながら加藤裕子と柴田みゆきに同意を求めた。

「うん、いいわよ。じゃ、私はこれね」

そう言って加藤裕子はスマホを久保田に差し出した。

「良い? 行くわよ」


それからめいめいに連絡先を交換し合った。
もちろん、<自然の流れ>で俺と柴田みゆきもだ。
交換と言っても今は携帯やスマホの赤外線通信だからアッと言う間だ。


「じゃ、みゆき、またね。今度電話するわ」

「うん、待ってるね」

「おー、柴田。またな!」

みんなに見送られながら柴田みゆきは帰って行った。



二次会での加藤裕子情報によると・・・

(情報と言っても
 幸いにも酔った加藤裕子が勝手に話してくれたのだが)

柴田みゆきは
高校卒業後に東京の会社に勤めて結婚をしたが
三年前に離婚をしてこっちに戻って来て
今は駅前のデパートの女性服売り場で働いている。
<独り>で五歳になる娘を育てていると言うことだった。


同窓会の後も柴田みゆきのことは気になってはいたけど
かと言って同じ市内に住んでいるとはいっても
ドラマのようにそう都合の良い偶然はなくて
ましてやデパートの婦人服売り場なんて
俺には一番縁の遠い場所だった訳で
何も起こらないままに季節は秋から冬へと過ぎて行った。





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