Neko

夢の汽車に乗って 星にリボンを 後編  ~七夕ストーリー~

プロフィール

yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最近の記事


カテゴリー


最近のコメント


フォト・ポエム


クリックお願いします。


月別アーカイブ


お母さんが亡くなる何日か前のこと。
私は学校が終わるといつものように病院にお見舞いに行って
そして、いつものようにその日学校であったことをお母さんに報告していた。

「そっか。夏休みが終わったら進路のことも決めなきゃね」

「うん。まぁねー」

「ちーちゃんはどうしたいの?」

「んー。迷ってる。
 お父さんはとりあえず大学に行けって言うけど・・・
 ねぇ、お母さん。私ね、デザイナーになりたいの!
 だから専門学校に行った方が近道だと思うんだけど
 でも、その為にはどうせなら東京の専門学校に行きたいんだ。
 レベルの高い所で勉強をしたいの!
 ねぇ、どう思う?」

「そうね。ちーちゃんの人生だもの。ちーちゃんの思うようにしたら良いわ」

「でも、お父さんが・・・デザイナーなんてそんなに甘くないんだから
 とりあえずは大学に行ってしっかり勉強をしてからにしたらって」

「うふ。お父さんらしい真面目な考え方よね?」

「真面目なのは良いんだけど、お父さんは堅過ぎよ」

私はふくれっ面で答えた。

「ごめんね。ちーちゃんの大事な時に傍にいつもいてあげられなくて」

お母さんは申し訳なさそうに言った。

「ううん。そんなことない。
 それにね。何だかんだ言っても私、お父さんのことも大好きだし。
 これからもしっかり話をしてみるわ」

「そうね」

「うん。だからお母さんも早く治してよ。
 二対一なら絶対お父さんなんか撃破よ!」

「まぁ、物騒な言い方」

「えへっ」

二人は顔を見合わせながら大きな声で笑った。


「あっ、そうだ。これ覚えてる? この前、お父さんに急に持って来たの。
 『どうだ? 懐かしいだろ?』って言って置いて行ってくれたのよ。
 何年ぶりに見たかしら。私もビックリしたんだけどね。
 良くお父さんも覚えていたもんだわ」

そう言うとお母さんはベッドの脇の引き出しから見覚えのあるモノを出して見せた。

「あっ、それ!」

それは初めて買ってもらった浴衣を着せてもらった時に
後ろに束ねた髪を結んでくれたあの黄色いリボンだった。

「わぁー、懐かしい! まだ取ってあったんだ?」

歓喜の声をあげながら黄色のリボンに頬ずりしていた私を
嬉しそうにお母さんは見ていた。

ふと我に返ると私はお母さんに訊いた。

「そう言えば、浴衣の帯も下駄の鼻緒も、そしてこのリボンもみんな黄色だったよね?
 ねぇ、どうしてだったの? お母さんの好きな色だったから?」

「そうね。それもあるわ。
 黄色って明るい色よね。向日葵とか太陽とかのイメージでしょ?」

「うん」

「何かね、黄色って見ているだけで心が弾んでくるようなそんな気持ちになるの。
 だから、昔から黄色が大好きだったの。
 それでね。いつ頃だったっけなぁー
 そうねー、ちーちゃんくらいの頃かな。
 図書館で黄色に関する事が載っている色々な本を読んだの」

「うん」

「例えば、そうね・・・
 イギリスでは黄色は身を守る為の色とされていたりね。
 それで黄色いネクタイとか黄色いハンカチとかを身に付けるの。
 時が経ってアメリカに渡ると今度、黄色いリボンは
 戦場にいる愛する人の無事を祈り
 無事な帰還を願うシンボルになった・・・とかね」

「へぇー、そうなんだ?」

「昔の歌だけど『幸せの黄色いリボン』とか
 日本の映画でも『幸せの黄色いハンカチ』とかあったりね」

「あっ、その映画は知ってるわ。
 家にDVDがあるよね?」

「そう。お父さんもお母さんもこの映画が大好きだったの」

「そうなんだー 私も今度観てみようっと」

「んー、ちーちゃんはどうかなぁー?
 もう少し大人になってから観た方が良いかもよ」

「ひどーい! 私だってもう十分大人です!
 ご飯だって洗濯だってちゃんとしてるよ。
 もちろん、お父さんの分もね! えっへん!」

「あらあら、それは失礼しましたね」

そう言うとお母さんは笑った。



その時、私はお母さんの私への深い愛情を改めて知った。
そして又、お父さんのお母さんへの深い愛情も。
お父さんもお母さんの完治を祈り
そして無事に退院出来る日が来ることを心から祈っていたんだ。

残念ながら黄色いリボンの願いも叶わずに
その数日後にお母さんは亡くなった。



私が東京の専門学校に旅立つ朝。
既に会社に出かけていたお父さんの書置きと一緒に
キレイにアイロンがかけられた
あの黄色いリボンが食卓テーブルの上に畳んで置いてあった。

<これを持って行け。
 お母さんがきっとお前をいつも応援してくれるはずだから>

お母さんの形見の黄色いリボン。

「お父さん、ありがとう。お父さんも応援してね。
 私達家族は離れたっていつもみんな一緒だから」

私は荷物を持って玄関に出ると振り返って誰もいない居間に向かって叫んだ。
ぽろぽろと落ちてくる大粒の涙を止めることも忘れて。

「お父さん、お母さん、ありがとう! 行ってくるからね!」



私はそんなことを思い出しながら
土手の上に座ったままでだんだんと灯りを増していく向こう岸の街を見ていた。
気が付くと空にももうたくさんの星達が煌めき始めていた。


「そうだ。お父さんにも電話をしておかなきゃ」

私はスマホでお父さんの携帯を呼び出した。
数回の呼び出し音の後でお父さんが出た。

「おー、千里か? どうした? 何かあったのか?」

「何かないと電話しちゃダメ?」

私はついぶっきらぼうに答えてしまった。
お父さんも前だとどうしてだろう?
いつも変な意地を張ってしまう。
可愛げのない娘。

「あはは。そんなことはないさ。嬉しいよ」

いつもと変わらない優しい声でお父さんは答えた。

「ごめんね・・・」

「なんだ急に? どうした?」

「今日・・・お母さんの命日だったよね。
 私、すっかり忘れていた・・・」

「あはは。そんなことか?
 良いさ。お前だって忙しいんだ。気にすることはない。
 今日、仕事を抜け出してお母さんのお墓に行ってきたよ。
 もちろん、お前の分もちゃんとお参りをしておいたからな。
 もっとも、そのお蔭でまだ会社に居残りだけどね」

「あっ、ごめん! まだ仕事中だったんだ?」

「あぁ。でも、みんな帰っちまったからな。
 大丈夫だ。これが終わったらお父さんも帰るよ」

「そっか。無理しないでね。
 お父さんだっていつまでも若くないんだから」

「おいおい、それは失礼だぞ。
 お父さんはまだまだバリバリの現役だからな。
 何年後か?何十年後か知らんけどさ。
 孫の顔を見てお母さんに報告をするまでは元気でいるさ」

「あはは。じゃ、ずっと結婚しないでいたら
 お父さんもずっと元気でいてくれるんだね?」

「おいおい、それは止めてくれ!
 お父さんだって人間なんだから限界と言うものがだな・・・」

「止めて!」

私はつい大声で怒鳴ってしまった。
お父さんの限界(死)のことなんか聴きたくは無かったのだ。

「そんな弱気なことなんて言わないでよ・・・」

私は涙声になっていた。

「すまん、すまん。だが、心配するな。
 お父さんは元気だし、ちゃんとやっているよ。
 お前はとりあえずは自分のことだけに一生懸命になれば良いさ」

「ありがとう・・・」

「あはは、泣くな! お母さんも悲しがるぞ」

「うん・・・」

「本当にそれだけか?
 何かあった訳じゃないのか?」

「うん。それだけだよ。お母さんの命日を忘れていて電話もしなかったから」

「そっか。それなら良いけど」

「来月ね。お盆には休みを取って帰りたいと思ってる。
 もう二年も帰ってないし・・・
 親不孝な娘だけどいつまでもお父さんとお母さんの娘でいさせてね」

「あぁ。当たり前じゃないか。
 でも、忙しいなら無理はしなくても良いんだぞ。
 大事な時なんだろ?
 人間てな、頑張らなきゃならん時は何を放っても頑張らなきゃならんのだ。
 それがお前にとって今なら余計なことは考えなくたって良いさ」

「うん、ありがとう。でも、大丈夫。頑張って休みを取れるようにするから」

「そっか」

「うん。それじゃ又、決まったら電話をするね」

「あぁ。解った」

「お父さんも無理はしないで。それじゃ、おやすみ」

「あぁ、おやすみ」



「うーーーーん!」

私は土手の上に両手を伸ばして寝転がった。
頬を撫でる風が気持ち良かった。

久し振りにお父さんの声を聴けて
さっきまで落ち込んでいた気持ちがすっかり晴れた気がした。

「わぁー! キレイな星ー!」


見上げると夜空には数えきれないほど無数の星達が煌めいていた。
七夕のせいか今夜は天の川もいっそうキレイに見える。

「良いなぁー、織姫と彦星は年に一度のデートかぁー。
 それなのに、あのバカは札幌だしさぁー」

私はふとさっきのタカシのメールを思い出した。

「そうだ! 絶交メールを送るんだった!」

私はスマホを取り出すとタカシのアドレスを出した。
しばらくスマホの画面を見た後で私はそのままアドレスを閉じた。

「まぁ、良いっか。あのバカはそんなくらいじゃ治らんし。
 それに私くらいしか相手をする可憐な女性もいないだろうしさぁー
 ボランティアっての? 仕方ないよね」

私は一人で笑い声を上げた。
近くに歩いている人がいたらきっと気味悪がったに違いない。


「ねぇ。お母さん。私達のこと・・・どう思う?」

満天の夜空を見上げると私はお母さんに話しかけた。
その時、星のひとつがキラリと光った気がした。

「お母さん。ありがとう。やっぱりお母さんともまだ繋がっているんだよね?」

私はそう言いながらその光った星にジェスチャーでそっとリボンを結んだ。
黄色いリボンを思い浮かべながら。




帰り際に私は閉店寸前の花屋さんに駆け込みミニひまわりを一輪買った。
部屋に戻ると白いチェストの上のお母さんの写真の前に
その一輪挿しにしたミニひまわりを飾ると目を瞑って手を合わせた。

「お母さん、忘れていてごめんね・・・」

それから冷蔵庫の中の有り合わせで簡単に食事を作って食べた。
独り身の食事なんてそんなものだろう。
手間を掛ければ掛けるほど出来た料理は何だか虚しい気がしていた。

「食事と言うよりは単なる給油みたいな感じ?」

私は自分で思い付いた比喩に苦笑いをした。


食事の後片付けもそこそこにシャワーを浴びて
上がった後、タオル一枚を巻いたままソファに寝転がってテレビを観ていた。
これが一方では独り暮らしの気軽さだ。
寂しくはないと言えば嘘になるけど
この気楽さは時に何者にも代えがたいものだって気もしていた。

「こんな風に揺れる気持ちの中で気が付けばいつしか三十歳も過ぎていくのかな?」

二十代と三十代の境目。
その先には何が待っているんだろう?
その時、私はどうなっているんだろう?



「さぁて、明日も仕事だし。そろそろ寝ようかなぁー」

私はテレビを消して立ち上がるとひとつ伸びをした。
その時、テーブルに置いてあったスマホにメールが着信した。

見るとタカシからだった。しかも添付ファイルのみで本文は無い。

「なぁに? ススキノのお姉ちゃんとのアホ写真なら今度こそ絶交だからね!」

私は添付ファイルをクリックして開いた。
と・・・私は我が目を疑った。

「えーーーー!? なんで? ねぇ、なんで? なんで?」

確かにそこには酔っぱらって真っ赤な顔ではしゃいでいるタカシのアホ面があった。
だが隣に一緒に写っていたのは<お姉ちゃん>ではなかった。

「お父さん!? な、なんで? なんでお父さんと一緒なの?」

そう、タカシと一緒に写っていたのは間違いなくお父さんだった。
しかも、かなり酔っぱらっているのだろう。
真っ赤な顔の男同士で頬をくっつけて二人とも大きな口を開けて笑っている。
タカシのアホ面はともかく
こんなにはしゃいだ顔のお父さんは見たことがなかった。

しかし、問題はそんなことではない。
どうしてタカシとお父さんが一緒にいるのかということだ。

と、そこに又、メールが着信した。

<いやぁー、驚いた? 俺も!(笑)
 ススキノに行こうと思ってたんだけどお前の家が急に見たくなってさ。
 で、住所を頼りに家を探してたんだけど夜だし解らなくてね。
 うろうろしてたら、そこに偶然通りかかったのがお父さんでさ。
 もう、超ビックリだったわ!
 で、訳を話して・・・と、言ったって
 いきなりお前と付き合ってますと言っても信じてもらえないだろうからさ。
 お前とツーショットの写メを見せた訳。
 あー、ごめん!
 つい、間違ってお前とキスしている自画撮り写メも・・・見られちゃった(汗)>

「なっ、何をバカやってんのよ!」

<で、『とにかく入れ』って言われてさ。
 いやぁー 俺はてっきり殴られるかと思ったんだけどね。
 そしたらビールを出してきてくれて・・・
 その一時間半後がこれ(笑)
 すっかり意気投合しちゃってさ。
 ホント、お前に似合わずさばけた良いお父さんだわー。
 おっと、メンゴメンゴ!
 でね。今夜はお前ん家に泊まらせてもらうことになったから。
 お父さんがどうしてもって言うもんだからさぁー。
 『千里の部屋が空いてるから好きに使え』なんてね>

「冗談でしょ! 止めてよ!」

<てな訳で、今夜はお前のベッドを借りるから、ヨロチクびー!>

「嘘でしょ!」

青天の霹靂とはまさにこういうことを言うのだろう。
私はすぐさまタカシに電話を入れた。
多分、ホンの数秒だったに違いないのだけれど
その間にも私のボルテージは目一杯上がっていた。


プルルル、プルルル・・・


「おー、千里? どうした?」

平然とした態でタカシは答えた。

「どうしたもこうしたもない! なんでタカシが家にいるのよ!」

「あー、そんなことか」

「そんなことって・・・良く平然と言えるわね!」

「それはさっきのメールで説明したじゃん。
 そういうことだよ」

タカシが平然と答えれば答えるほど私はどんどん過熱していった。

「とにかく、早く帰ってちょうだい!」

「無理だよ。お父さんももう寝ちゃったし俺もベッドの中だし」

「ベッドって・・・」

「あぁ、お前の。けっこう可愛い趣味してたんだな」

電話の向こうにタカシのニヤニヤした顔が浮かんで
私は目の前のそれを思いっきり振り払った。

「他には? 何も見てないわよね?
 勝手に何処でも開けたら承知しないからね!」

「他にもって? 何かあるのか?」

しまった! 墓穴を掘った?

「別に見ちゃいないよ。見せたいものがあるなら見てやるけどさ」

「なっ、そんなものある訳ないでしょ!」

「お前の勉強机って何っての?
 アンティーックぽいってかカントリーっぽいってかシックで良いね?
 これってお父さんとかお母さんが選んだのか?
 子供の趣味とは思えないけど」

「えっ? 勉強机・・・まさか、引き出しを開けてないわよね?」

「引き出し?」

「あんたね! 日記なんか見たら絶対殺すからね!
 タカシを刺して私も死ぬから!」

「日記? ほぉー」

あっ、しまった! また?

「もう・・・」

私は床にへたり込むとソファに向かってスマホを投げつけた。
なんか今日の私はいつもの私じゃない。
タカシへの怒りと言うよりはそんな自分自身への漠然とした怒りだったのかも知れない。

ソファに転がったスマホから微かにタカシの声がした。

「おーい、どうした?」

私は膝で歩きながらソファの元まで行くとスマホを手に取った。

「おーい、千里ー!」

「もしもし・・・」

「おー、何かにぶつかったような音がしたけど大丈夫か?」

「なんでもない・・・」

「そっか、なら良いけど」

「・・・」

「やっぱ、何か変だぞ」

「何が?」

「何がって・・・いわゆるひとつの勘とでも申しましょうか」

「何それ? 誰のモノマネよ? バッカみたい」

「へぇへぇ。どうせね。
 あっ、そうだ! 一応、お前に言っておかなきゃな」

「何を?」

「俺さ。さっきお父さんに約束をしたんだ。
 来月のお盆には必ずお前を連れて来るからってさ。
 もし、お前が休めないとか何とか言っても
 俺が責任を持って引っ張ってでも連れて来るからって。
 だから、お前もそのつもりでいろよ」

「な、何を勝手なことを言ってるのよ?
 しかも何? 私を連れて来るって・・・誰の家だと思ってるの?」

「あはは。それはまぁ、言葉のあやだよ。
 でも今日、お前のお父さんに会えた。
 やっぱり思った通り、いやそれ以上に素敵な人だったよ。
 となるとさ。
 ここはやはりお前を産んでくれたお母さんにも
 ちゃんと挨拶をしておかなきゃさ。
 お盆には一緒にお墓参りに連れて行って欲しいんだ。
 お前とお父さんと一緒に」

「タカシ・・・」

「だから、そのつもりでいろ」

「・・・」

「ん? どうした?」

私はスマホを握り締めながらボロボロ泣いていた。
やはり今日の私は変だ。
涙の蛇口が完全に壊れてしまってる。

「おーい! おーい? おぉーーーーい!」

「・・・」

「えっ? 何? 何だって?」

「泣かせるなよ」

「えっ?」

「だから・・・泣かせるなっての!
 私はここに独りなんだぞ。
 こんな気持ちにさせて・・・どうしろって言うのよ?
 タカシに責任取ってもらいたくても・・・いないしさ・・・」

「ごめん・・・」

「何で謝るの?」

「だって・・・」

「バッカじゃないの?」

「何だよ、それ?」

「バカ・・・」

「お前なぁー」

「・・・」

「えっ? 何? 聴こえない」

「アイシテル・・・」

「えっ? えっ? 何だって? もう一度?」

「バカ・・・」

「いや聴こえなかったんだって。何て言ったんだ?」

「別に」

「いや今、お前は何だかすごく大事なことを言った!」

「言ってない」

「いや言った!」

「良いよ。とにかく私のベッドを汚さないでよ!」

「何だよー? 人を汚物みたいにさ。怒るぞ!」

「うふふ。お父さんによろしくね」

「えっ? おお、任せとけ」

「じゃ、私は寝るから。こっちに帰って来たら連絡ちょうだいね」

「んー、何だかすごくごまかされた気がする・・・」

「そんなことないよ。じゃあね」

「はいよ。お土産楽しみにしとけよ」

「空気だけじゃ嫌よ」

「あはは、やっぱこの手は無理か? よし、解った。ちゃんと買って帰るよ」

「うん。ありがと」

「じゃあな、おやすみ」

「おやすみ」



私はスマホをテーブルの上にそっと置くと窓のところに行きカーテンと窓を開けた。
夜風が頬に気持ち良い。

「織姫と彦星のデートは上手くいっているかな?」

見上げた夜空にはいつもの東京の空では見られないくらいキレイな天の川が見えていた。

「二人がもっともっと、そしていつでも傍にいられますように」

そう願いながら私はジェスチャーで天の川にリボンを結んだ。
もちろん黄色いリボンだ。





スポンサーサイト

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する


Powered by FC2 Blog