Neko

夢の汽車に乗って 2014年05月

プロフィール

yumenokisya

Author:yumenokisya
現住所 北海道十勝国

 好きな言葉は
『なんとかなるべさ』

 そう、生きてさえいれば
何とかなるもんです。。。
   


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そして六回目の新月の夜になった。

「いよいよ今日で俺は生まれ変わるんだ!」

そう思うと二時までの一分、一秒が待ちきれない想いだった。

「でも・・・本当に男は現れてくれるんだろうか?」

急に不安が頭をよぎった。
物語なんかでは最後の最後にどんでん返しが起こるなんてことはよくあることだから。

「頼む! 頼むぞ! 出てきてくれ!」

俺は神にもすがる気持ちでその時を待った。
すがっていたのは、もしかしたら悪魔だったのかも知れないが
ここまで来たらどうでも良いことだった。
もう後戻りは出来ないのだ。



二時を過ぎた時、鏡の中の男が現れた。
そこには五か月前の俺がいた。

縮れたくせ毛。
かろうじて二重だが気持ち悪いくらいギョロっとした目。
低い団子っ鼻。
分厚い唇。
えらの張った長い顔。

三十年以上も連れ添った見慣れた顔がそこにあった。


「やぁ、今夜も早いね。そんなに待ちきれなかったかい?」

「あぁ、そうだよ。その通りだ。
 俺はやっと今日で生まれ変われるんだ!
 どんな想いでこの夜を待ったかお前には分らないだろう?」

「いや、分るさ。なんたって俺はお前自身なんだからな」

「そうか、そうだったな。
 鏡の中のお前は俺の本当の姿だと言っていたものな。
 だがもう、そんなことはどうでも良い。
 早くこの潰れた大きな耳をお前の耳と交換してくれ!」

「良いさ。すぐに交換してやるよ。
 でも、その前にひとつ聞かせてくれ」

「なんだ?」

「お前の顔が少しづつ変わっていってどうだった?
 何か良いことのひとつくらいあったのかい?」

「あぁ、あったよ。普段は話しかけてもこないような
 美人社員に話しかけられたりね」

「そうか、そりゃ良かった。
 やっと、これでお前は本当のお前を取り戻せるという訳だ」

「あぁ、そうさ。俺は生まれ変わって人生をやり直すんだ」

「その美人の何とやらとかい?」

「そんな高望みはしていないさ。
 自分の分はわきまえているつもりだ。
 でも、普通の生活は送れるようになるだろう。
 みんなが当たり前にやっている生活がな。
 美人とは言わないけど恋人ができて結婚をして・・・
 そう、そして温かい家庭を作るんだ。
 そんな当たり前のことも今までは考えられなかった。
 でも、もうそれも終わりだ」

「そうだな。良かったじゃないか」

「あぁ、そうだよ。
 俺は生まれ変われるんだ。
 だから、さぁ。早く最後の交換をしてくれ!」

「良いとも。分ってるな?」

「目を瞑るんだろ? そして、三つ数える」

「そうだ。最後にひとつだけ言っておくが」

「何だ? 今更、やっぱり止めだなんて無しだぞ」

「分ってるさ。そんなことじゃない」

「じゃ・・・?」

「もちろん・・・」

「何だ?」

「後悔はしていないよな?」

「あぁ、むしろお前には感謝をしているよ」

「そうか。じゃ、最後の交換をしてくれるんだな?」

「あぁ、そうだ。早くしてくれ」

「じゃ、目を瞑るんだ」



鏡の中の男の言葉に俺はすぐに気が付くべきだった。
だが、俺は願いが叶う事に夢中で
男の言い回しがいつもと違うことに気が付かなかった。


「よし、目を開けて良いぞ」

俺はそう言われて目を開けた。
と、鏡の中には以前の俺がいた。

もちろん、あの忌まわしい耳もちゃんと男の顔に付いていた。
俺は急いで確認をしようと洗面所に向かおうとした。
が、身体が動かなかった。

「えっ? おい、これはどういうことだ!?」

俺は<鏡の向こう>の男に詰め寄ろうとした。
だが、やはり身体は動かない。

「何がだ?
 ちゃんと望み通りにお前はハンサムになれたんだぜ。
 素直に喜べよ。
 きっと誰もが羨んで容姿を交換したがるだろうな。
 あはは、自由と引き換えにな」

「な、何・・・? どういうことだ? おい!」

「そういうことだよ。
 お前は望むようなハンサムな顔を手に入れた。
 代わりに俺はこうしてやっと自由を手にいれたって訳さ。
 三十年ぶりに人間に戻れたんだ。
 お前には感謝しているよ」

男はそう言うとニヤリと笑った。

「おい、話が違うぞ!」

「えぇー? 俺が一度か嘘を言ったかい?
 俺は顔を交換してやると言っただけさ。
 違うかい?」

男はニヤニヤしながらおどけた風で言った。

「しかし、身体を交換するとは一度も言っていないぞ!」

「はは、それはお前が訊かなかっただけさ。
 お前の望みはハンサムになることだったろ?
 それは約束通りに叶えたんだ。
 ゆっくりとハンサムな顔を満喫してくれよ。
 慣れたら<そこ>の暮らしも良いもんだぜ。
 腹も空かないし、働かなくたって良いんだ。
 もっとも、そこじゃ働きたくても働けないけどな」

そう言うと男は寝室を出て行こうとした。

「おい、待て! 待ってくれ!
 第一、その醜い顔でどうするんだ?
 誰も相手にしてくれないぞ!」

俺は男を引き留めようと必死だった。

「顔?
 そんなことは自由から比べたら大したことではないさ」

男は俺をまじまじと見つめると呆れたように言った。

「お前はとことん醜い奴だな。
 顔だけが全てを決めると本当に思い込んでいるのかい?
 顔なんて本当は大した問題じゃないのさ。
 容姿を気にして卑屈になっていることこそが問題なんだよ。
 心配するな。
 お前のことは良く分っている。
 今日からお前の代わりに人生を楽しませてもらうよ。
 じゃあな」

そう言うと男は俺に向かって後ろ手を振った。

「待て、おい! 待ってくれ!
 俺をここに置いて行くのか?
 ここは俺の寝室だぞ。
 毎晩出てきて呪ってやる!」

男は振り返るとわざと大仰に言った。

「おぉ、そうだった!
 忘れていたよ。
 それじゃ、お前を例の骨董屋に持って行ってやるよ。
 運が良かったらすぐに代わりの奴が見つかるだろうよ。
 お前はそいつの顔を上手くもらえればそこから出られるって寸法さ。
 人生まるごと引き継いでしまえば良いんだ。
 なぁに、気にすることはない。
 殺す訳じゃないんだからな。
 ただし、交換する相手は良く選んだ方が良いぜ。
 うっかり殺人犯なんかと交換なんてしたら
 シャバに出た途端に捕まって死刑なんてことにもなりかねないからな」

男はそう言うと愉快そうに笑った。
 
「なるべくムシの良い考えの奴を見つけてそそのかせば良いんだ。
 『お前をハンサムにしてやる』ってな。
 簡単なことだろ?
 まぁ、本当はここまで教えてやる必要はないんだけどな。
 どうだ?
 おい、良かったな。
 俺が良い奴で」

そう言うと男は<俺>を壁から外すと小脇に抱えてアパートを出た。
陽気な鼻歌を口ずさみながら・・・




あれからどれくらい経ったのだろう?
何百年か? それともただの数日なのか?
<ここ>の居心地は思ったほどは悪くはない。
だが、ここにいると時間の流れが解らなくなる。

俺は何者で、なんでここにいるのか?
混沌とした時間の中で俺が俺でなくなっていく。
最初に感じていたそんな恐怖も今じゃ感じることもない。
俺が何者であろうともそんなことは最早どうでも良い。

ただひとつだけハッキリとしていることがある。

「ここを出たい!」

その想いだけが
俺の抱えたパラドックスを満たせるかのように脳裏に刻み込まれている。

「そうだ! 俺はここを出るのだ!」

そう強く念じた時、俺の周りが一瞬だが強い光を放った気がした。


その時、骨董屋のドアが静かに開いて
二十代半ばくらいだろうか?
見た目にも冴えない若者がおどおどと中を覗くように入って来た。

「あのぉ、ちょっと見せてもらっても良いですか?」




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「お、お前は・・だ、誰だ?」

「おいおい、何を言ってるんだい?
 俺はお前に決まってるだろ?
 お前は鏡を見ているんだからな」

「そ、そ、そんな訳ない! あるはずがない!」


そう、そんなはずはないのだ。
何故なら鏡の中の男はシュッと細見の顔に通った鼻筋。
キレイな二重のクッキリとした目にサラサラの茶髪。
誰がどんなに卑下したところで
誰もが美男子と言うに違いないような男だったのだから。


「誰だ、お前は? 悪魔なのか?」

人間はあまりに信じられない場面に出くわすと
突拍子もないことを言うものだ。

『悪魔? そんな<モノ>がいる訳はない』

心の中ではそう思いながらも有り得ない現実を受け入れるには
そう思うしかなかったのだ。

「悪魔? この俺が? あはは、まさか!
 何を寝惚けているんだ? 俺はお前に決まっているだろ?」

「そうか、夢だ! これは夢なんだ!」

「夢? お前がそう思うのは勝手だが、残念ながらこれは現実だ」

冷めた言い方で男は言った。

夢なら夢でも良い。
こんな夢は初めてだが、これも酔狂と言うものだ。
俺は夢だと決めつけると少し落ち着きを取り戻した。

「ふん。自分で言うのも癪だけどな。
 俺はお前みたいにハンサムじゃないんだ。
 そんなことくらいは十二分に解っているさ。
 で? お前は何をどうしたいんだ?」

「どうにかしたいのはお前じゃないのか?」

「何が?」

「何度も言うが俺はお前だ。
 ただし、外見ではないけどな」

「どういうことだ?」

「お前の心が形になって映っているのさ。
 つまりは俺の姿形こそがお前の本当の姿という訳さ」

「意味が解らん」

「まぁ、良い。とにかく俺はお前なんだ。
 正確に言うとお前の<心>って訳だがな。
 お前が買ったこの鏡は心の中を映す鏡なのさ」

「・・・」

「信じてないようだね?
 じゃ、こうしよう。
 お前の顔のどの部分かと俺のどの部分かを交換してやろうじゃないか。
 お前の心をお前の外見に戻してやろうって訳さ」

「そんなこと出来る訳ないじゃないか。
 やっぱり、お前は悪魔だ!
 願い事をかなえる代わりに俺の魂を奪おうって魂胆なんだ!」

「ははは。どうせ『そうじゃない』と言っても信じないんだろ?
 なら、どうでも良いけどね。
 お前はせっかくハンサムになれるチャンスを失くすだけだし
 俺は痛くも痒くもないってことさ。
 だけど、試すくらいは良いと思わないか?
 どうせ<夢>なんだろ?」

「・・・」

「さて、何処が良い? 目か? 鼻か? 唇か?」

「・・・」

「おいおい、楽しい夢だと思うけどね。
 お前はそうやって夢の中でもいじけて暮らすんだ?
 『俺はブサイクのままが好きなんだぁ~』なんてな」

「何を!」

「おっ、少しはその気になったかい?」

「出来るもんならやってみろ!
 お前の目をくれ! その二重のキレイな目だぞ!」

「良いだろ。一度目を瞑って、そして三つ数えたらゆっくり目を開けるんだ」

俺は言われるままに目を瞑り、そして三つ数えた。

「一・・・二・・・三・・」

そしてゆっくりと目を開けた。

「あっ!?」

「どうした?」

鏡の中の男の目はさっきまでのクッキリとした二重ではなく
見覚えのあるギョロっとした二重の目になっていた。

「俺の目は?」

俺は慌てて洗面所に行くと鏡を覗き込んだ。
俺の目は見慣れた気持ち悪いくらいのギョロっとした目ではなく
クッキリとしたキレイな二重になっていたのだ。
だが・・・


「どうだ? 感想は?」

俺が寝室に戻ると鏡の中の男が訊いた。

「どうもこうもない」

「何を怒っている? お前の望み通りだろ?」

「そうだけど・・・でも、バランスと言うものがあるだろ?
 こんな顔に目だけキレイでも見た目は結局は変わっちゃいない。
 どうせなら一度に全部を替えてくれよ」

「それは無理だ」

「無理? 何故?」

「それが決め事だからだ」

「交換出来るのは一個だけと言う訳か?
 ふん、所詮はそんなもんなんだな」

俺は一瞬でもハンサムになれると信じた自分が急にバカらしくなった。

「そうじゃない。新月の夜に一個づつ替えられるんだ。
 だから次の新月の夜になれば又、替えられるのさ」

「新月の夜? どうして新月の夜なんだ?」

「人間は満月の夜が一番パワーがあると思っている。
 そうだろ?」

「そうじゃないのか? 狼男が変身をするのだって満月じゃないか?」

「それは迷信だ。
 確かに満月はたくさんのエネルギーを蓄えている。
 だが、それが放出されるのは新月なのさ。
 だから新月の夜が一番パワーが強いんだよ。
 考えてもみろよ。人の顔を替えるんだぜ。
 どれだけのエネルギーが必要だと思うんだ?
 だから、新月の夜に一個だけなのさ。
 解ったら次の新月まで大人しく待ってるんだな。
 又、その時に交換してやるよ」

そう言うと鏡の中の男は消えた。
今、そこに映っているのは紛れもない俺自身の醜い顔だった。
ただし、目だけはキレイな二重の何ともバランスの悪い顔だったけど。



次の日。俺は普段通りに出社をした。
会社のロビーやエレベーター。
廊下で誰かとすれ違う度に俺は自然と目を伏せていた。

普段は誰も俺のことなんかまともに見てはいない。
上司だって後輩だって多分そうだろう。
もちろん、仕事の打ち合わせとか
用事を頼んだり頼まれたりはあるけど目を合わせて話したなんて記憶にはない。

いや、もしかしたら気にしているのは俺だけで
他の奴らは誰が相手でもどうってことはないのかもしれない。

ある意味では会社というのはプロ集団だ。
みんな仕事相手の顔なんて本当は大して気にしてはいない。
気にしているのは自分の数字と出世だけだろう。
婚活に精を出す女子社員はともかくだろうけど。
もっとも、その手の女子社員は端から俺なんて相手にはしていない。

だから俺の目がいつもと多少違ったところで
誰にも気づかれないに違いない。
そんな風に思う気持ちと、もし誰かに気が付かれたら何て言えば良いんだろう?
そんな気持ちが自然と俺を俯かせていた。


「ふぅ・・・」

自分の席につくと自然にため息が漏れた。

「あっ、先輩。おはようございます。
 これ、今日の打ち合わせ表です。
 十三時からN商事との例の打ち合わせです。
 部長が期待しているぞって言ってましたよ」

後輩の佐久間はそう言うといつもと変わらない態度で自分の席に戻って行った。
何に気付くこともなくだ。

「そんなもんか、やっぱりな。だが、待てよ・・・」

以前、テレビで観た「アハ体験」のことを思い出した。

「アハ体験」自体は脳を活性化させる為の手段なのだが
その中に一枚の写真の一部が徐々に変化をしていくことに気が付くかどうか?
と、いうのがあった。

つまり、一度に変われば誰もが変に思うだろうけど
俺の顔のパーツが一ケ月に一か所づつ変わって行くんだったら
誰に気が付かれることもなく俺はハンサムな男に生まれ変われるんじゃないか?

俺は急に次の新月の夜が待ち遠しくなっていた。



二度目の新月の夜になった。
俺は十二時を過ぎたくらいから急く気持ちを抑えながら
鏡の前で<男>の出現を待っていた。

「早く来い!」

やがて二時を過ぎた時、男は現れた。

「おや、今夜は寝ていないのか?」

「当たり前だ! 早く交換をしてくれ!」

「まぁ、そう焦るなよ」

男はニヤニヤしながらわざとじらすようにゆっくりと答えた。

「で、どうだったい? 会社で誰かに気が付かれたかい?」

「いや、それは大丈夫だ。
 一度に全部が変わればみんな気が付くだろうが
 一ケ月に一か所だけならだれもそうは気にしないさ。
 もともとがそんなに目立つ方でもなかったしな」

「ほう、それじゃむしろ好都合ってやつだね?」

「だから、さぁ! 早く交換をしてくれ!」

「良いだろう。で? 今夜は何処にする?」

「鼻だ! 俺のこの団子っ鼻をお前の鼻と替えてくれ!」

「よし、じゃあ又、ゆっくりと目を瞑るんだ」

俺は心の中で三つ数えて、そして目を開けた。


鏡の中の男の鼻は見事なくらい俺のに瓜二つの団子っ鼻になっていた。
俺は急いで洗面所に行き、鏡で鼻筋の通った新しい鼻を確認すると
急いで寝室に戻って鏡の中の男に懇願をした。

「なぁ、やっぱり一ケ月に一か所しかダメなのかい?」

「あぁ、それが決まりだ。
 お前も自分で言っただろう?
 一度に全部が変わったら気付かれて整形疑惑なんて羽目になるぜ。
 そしたら逆に笑い者じゃないのか?」

「あ、あぁ・・・そうだな。分ったよ」



次の日、出社をした時も誰も俺の<変化>には気が付いていないようだった。

「先輩、今日の会議の資料はこれで良いですかね?」

「どれ、ちょっと見させてくれ」

「はい、それじゃよろしくおねがいします」

佐久間はいつもと変わらない態度で席に戻って行った。

俺は佐久間を目で追うと頷いた。
そう、これで良いんだ。



それから三ヶ月をかけて髪の毛、分厚い唇とえらの張った長い顔を
鏡の中の男と交換をした。

あんなにハンサムだった鏡の中の男が徐々に俺の顔に変わって行くのを見るのは
正直、自分の醜さを見せつけられるようで嫌だったが
今の俺はもう五か月前の<俺>ではなくなっていた、その快感には勝てなかった。

会社の廊下ですれ違う二人連れの女子社員がクスクス笑っているのを見ると
何だか自分のことを見透かされて笑われている気分になったりもしたが
元より俺のことなんて気にもしたことのない連中のことだ。
俺がどんなだろうとそれ以上気にはしないだろう。

別に<整形>をした訳ではない。
ただ、<交換>をしただけだが
仮に本当のことを言ったところで誰もそんなことは信じないだろう。

「そう、俺はこれが本当の姿なんだ」

俺は自分にそう言い聞かせてほくそ笑んだ。


ここのところ俺の課の女子社員の俺に対する態度も
少しづつ変わってきている気がした。

「先輩、何かありました?」

俺は同じ課の女子社員の島田にそう話しかけられてドキッとした。
サラサラの長い髪、大きな瞳。笑うとできるえくぼ。
もちろんスタイルだって抜群でその辺のモデルやアイドル以上だろう。
同じ課どころか会社中の独身どもが狙っているという噂の美人の島田が
私に笑顔で話しかけてくれた。
それだけでもう俺の心臓は飛び出しそうだった。

「えっ? い、いや・・・何もないよ」

俺は努めて平静を装いながら答えた。

「そうですかぁ? 何だか少し明るくなったみたい。
 何か良いことでもあったのかなぁ~なんて」

「あはは、なら良いんだけどね。残念ながら」

俺は少しテレながら頭をかいた。


今まで仕事のこと以外は話かけてこなかった女子社員が
こんなことを話しかけてくるなんて初めてだった。

『ふふふ。後、一ケ月か・・・』

俺は次の新月の夜が待ち遠しくてたまらなかった。




或る夜のことだった。
仕事が終わると俺は何処に寄り道をするでもなく
すぐにいつものように電車に乗り込み
そしていつもの駅で電車を降りて
いつものように駅前通りから商店街を抜け
俺はアパートまでの道を速足で歩いていた。



毎日、毎日、判で押したように
同じ時間にアパートを出て
同じ時間にアパートに戻る生活だった。

会社とアパートの往復だけの毎日。
同僚と飲みに行くでもなく
もちろん、デートなんてしたこともない。

「それで寂しくないのか?」だって?
別に寂しくはないさ。
そりゃ最初はね。
寂しいというより・・・そうだな。
<みじめ>ってのかい?
そんな風に思ったこともあったけど
慣れたら別にどうってことはなかったよ。

縮れたくせ毛。
かろうじて二重だが気持ち悪いくらいギョロっとした目。
低い団子っ鼻。
分厚い唇。
えらの張った長い顔。
潰れた大きな耳は遺伝だろうか?
思えば祖父も父も同じ耳をしていた。

そんな顔だったから子供の時から
女子にモテたこともなかったし
それは学生時代も今だって何も変わっちゃいない。

昔はね。
鏡を見ながら己の醜さを呪ったもんさ。
そして、もう二度と鏡は見ないと誓った。

でも、悪いことばかりでもなかったよ。
友人達がデートだなんだって遊んでいる間に
俺は勉強に没頭していた。
勉強は嘘をつかないし、顔で点数に差はつかないからね。

お蔭様でいわゆる世間でいう一流大学にも受かったし
今は世間から一流と呼ばれている会社で
それなりに頑張っている。
生活にも余裕ができたしそれで十分に満足さ。

例え、これから死ぬまでずっと独りだって
蓄えさえあれば何とかなるだろうし
三十歳を過ぎて今更他には何も望んじゃいない。



とある店の前に来た時に
店の中で何かがキラリと光るのが見えた。

「あれっ? こんなとこに骨董屋なんてあったっけ?」

俺は立ち止まってガラス窓の中を覗き込んだ。
すると又、何かが店の奥でキラリと光った。

引き込まれるように俺は店のドアを開けた。

「いらっしゃい」

その声の方をみると
およそ愛想の無いオヤジが店の脇のカウンターに座っていた。

「何か探し物ですかな?」

「い、いや、そう言う訳じゃ・・
 あのぉ、店の前を通りかかったら
 この中で何かが光った気がしたもんで気になっちゃって」

「そうですか。
 見ての通り、ガラクタばかりじゃが
 好きなだけ見ていってくだされ」

「あっ、は、はい」

俺は見るともなしに店の中を見て回ったが
特に何も目を引くものも変わったものはなかった。
素人目にはどう見ても中古品のしかもガラクタばかりにしか見えなかったが
見る人が見ると骨董品となるんだろう。
俺には全く興味のない世界だった。

<なんだ、気のせいかな>

「すみません。又、来ます」

そう言って俺が店を出ようとした時だった。
背後に何かの気配を感じた。

振り返って見ると、そこには仰々しいほどの金細工。
こんな店に並んでいるんだ。
おそらくはメッキか何かだろう。
元はかなり豪華な装飾だったろうが
今ではかなり金の部分が腐食していた。
鏡面の大きさは縦が五~六十センチ、横幅は三~四十センチほどの
そんな古ぼけた金細工の縁取りの鏡がそこにあった。

「ほぉ。お目が高い。
 それは古い曰く付きの鏡での。
 クレオパトラは知っておるじゃろ?」

店主はにこやかに話しかけてきた。

「えぇ、古代エジプトの女王で
 今でも美女の代名詞ですよね」

「その通り!」

私がそう答えると
店主は我が意を得たりとでもいうかのように大仰に答えた。
久し振りの<カモ>を見つけた猟師といった具合だろうか。
その胡散臭さに俺は適当にあしらって早く店を出ようと決めた。

「で、そのクレオパトラがどうしたんです?
 まさか、この鏡の持ち主だったとでも?
 そんな話は子供だって信じませんよ」

店主はかまわずに続けた。

「クレオパトラの鼻の話くらいは知っておるじゃろ?」

「えぇ、後何センチ高かったら世界は・・・って奴でしょ?」

「クレオパトラは確かに美人だったが
 その鼻がコンプレックスでもあったようでじゃな。
 毎日、この鏡を観ては嘆いていたそうじゃ。
 でも代々王家に伝わる鏡をどうすることも出来ずにいたのじゃが
 ある時、我慢が出来なくなって王の留守中に
 宮殿に飾ってあったこの鏡を従者に命令をして割ろうとしたのじゃが
 不思議なことにその時にはこの鏡は跡形もなく消えてしまっていたのじゃ。
 鏡がなくなった後のクレオパトラの悲劇は歴史の通りなのじゃが」

俺はこんな街の古ぼけた骨董屋の店主からクレオパトラの名を聞いただけで
胡散臭さが倍増したのに、これ以上の酔狂に付き合っているのは
どう見ても時間の無駄としか思えなかった。

「すみません。そんなすごい曰く付きの鏡は俺には買えそうもありませんので
 今日のところはこれで失礼します」

俺は店主の気を悪くさせないようになるべく気を遣って言ったつもりだった。
だが、店主の方はおかまいないしに自分の世界に浸っているようだ。

「まぁ、聞きなさい。
 それで、その鏡はどうなったのか?
 実はヨーロッパの諸侯に間を何百年、いや何千年もの間
 歴史の影に隠れて伝わっていったのじゃ。
 この鏡を持つ家は栄え、或る日突然なくなるとその家は滅びた。
 そんな風に伝えられておる」

「はぁ」

「何じゃ、信じておらんようじゃな?」

「い、いや、そんな訳じゃ・・・
 でも、にわかには」

「まぁ、それも無理はない。
 信じるも信じないもあなた次第なのじゃからな。
 じゃが、これにはもうひとつ曰くがあってな。
 この鏡は持ち主を選んでいるのじゃよ。
 誰だって良い訳じゃない。
 鏡に選ばれた物だけがこの鏡の持ち主になれるのじゃ」

「それじゃ、ますます私には縁がなさそうです。
 第一、そんな曰く付きの高価なものを買える身分じゃありませんしね。
 俺は王様でも伯爵でもないただのサラリーマンですから」

「そうか、それは残念じゃな。
 たったの一億五千万円なんじゃが」

「一億? あんたは俺をからかっているのかい?
 誰がこんな鏡に一億も払うっていうんですか?
 いくら<カモ>でもここまでバカにされちゃ買えるもんだって買いませんよ!」

「いや、バカにしてもおらんし、からかってもおらんのじゃがな」

「いいや、あなたは俺がお人好しの<カモ>だと思ってバカにしています!」

俺は堪忍袋の緒が切れたみたいについ声を荒げた。

「まぁ、まぁ。そんなに怒鳴らんでもまだ耳は達者でな。
 良く聞こえておる」

「・・・」

「まぁでも。いくら金を積まれても鏡に選ばれなかったら同じじゃ。
 一億五千万でも千円でもな」

「ほぉ、それはおもしろいことを。
 千円ならすぐに買いますよ。
 この鏡に選ばれなかったら処分する手間も省けるってことですよね?
 おもしろい。すぐに包んでください。
 はい、これ」

俺はそう言うと一万円札を一枚差し出した。

「あっ、お釣りはいりません。
 良いヒマ潰しをさせてもらいましたら」



結局、俺は気が付いたらその鏡を買っていた。

薄茶色の厚手の油紙のような包装紙に包まれた鏡を抱えて歩きながら
俺は早くも後悔をしていた。
なんせ重たいのだ。
いつも買う十キロの米袋・・・それに比べても大した違いはないように思えた。

「なんでこんなに重たいんだ?
 さっきはこんな感じじゃなかったのに」

俺は半ば汗をかきながら右手に左手に何度も持ち替えながら
やっとの思いでアパートに辿り着いた。


「ふぅ・・・」

部屋に入ると俺は部屋の隅に鏡を置いて額の汗をぬぐった。

「やれやれ。ところでこいつは何処に掛けようか」

居間を見渡しても掛けるに丁度良い場所は見つけられなかった。
第一、部屋の中は家具量販店で買ったシンプルな色や形の家具ばかりで
その中に掛けるには鏡はあまりに仰々し過ぎた。

「やっぱり寝室かな?
 でも、寝室に掛けるにはこいつはちょっと不気味だよな。
 毎晩、甲冑を着た昔の兵士にうなされたりしてな」

俺は自嘲気味に包装紙に包まれた鏡を見た。
もちろん、昔から霊感なんてなかったし、夢にうなされたこともなかったのだ。

「まぁ、或る意味そんなのが出て来るってことは
 こいつは<本物>ってことになるんだけど」

それだけは有り得ないだろうと
俺はあの骨董屋の店主を思い出しながら確信をしていた。



当然のように何事も起きないまま一週間が過ぎて
俺は寝室に掛けた鏡の存在すら忘れかけていた。
なんせ鏡なんて見るのも嫌だったのだから
寝る時も起きた後も鏡を見ることがなかったのだ。
ネクタイだって別に鏡がなくたって上手く締められたし
縮れたくせ毛の俺は適当に二~三度ブラシをかけたら
それで身だしなみはオーケーだった。

「何をどうしたってブサイクがイケメンになる訳じゃないさ」



ある夜、俺が寝ているとベッドの横で何かの気配を感じた。

「ん・・・なんだ?」

寝惚けたまま俺は体を起こすと辺りを見回した。
だが、別に何も変わったことはなかった。

「気のせいか・・・」

ベッド脇の時計をみるとまだ2時を少し過ぎたばかりだった。

俺は又、身体を寝かせるとタオルケットを顔の半分まで隠すようにして
それから半身を左の壁に向けて寝直そうとした。

だが、今度はなかなか寝付けない。
人間、何かが気になると余計に眠れなくなるもので
何度も俺は寝返りを打ってみたが逆に目が冴えるばかりだった。

「ふぅ・・・参ったな。明日も仕事だってのに」

俺は目を瞑ったまま深呼吸をした。
気持ちが落ち着けば眠れるようになる。
深呼吸をしながら俺は自分に暗示をかけようとしていた。

その時だった。

「やはり<誰か>いる!?」

俺は得体の知れない視線を感じたのだ。
間違いない。

俺は又、起き上がるとすぐに部屋の電気を点けた。
そして壁際を振り返った時だった。

俺は我が目を疑った。
鏡の中の見たこともない<誰か>が俺を見てニヤリと微笑んでいたのだ。




お知らせ?

今夜から
前編・中編・後編の三回に分けて
ショートストーリー『鏡の中の男』を
掲載させていただきます。


テーマはと言うと

まぁ・・・よくある話ではあります。


なので
お時間のある方はぜひ

学芸会の我が子を見守るような?

そんな優しい気持ちで
ゆっくりとお付き合いください(笑)



ありがとう

「ありがとう」

そう素直に言える人は
それだけで素敵な人です


人は1人で生まれて来た訳では無いし
1人で生きて来られた訳でもありません

多くの人に囲まれ
多くの人との関わりの中で今に至っています


「するのが当たり前」
「してくれて当然」
「言わなくたって分かってくれている」
「いちいち言ってられない」


特に親しい間柄になればなるほど
”儀礼廃止”と言う訳ではありませんが
そんな空気感の中で
何となくスルーしちゃう事ってあります


でも
人が人に何かをするのに
本当は”当たり前”なんて無いのです


気持ちは言葉で伝えなければ
相手の心には届きません


ちょっとした一言があるだけで
人は温かくなれるのです

ありふれた言葉でも
その一言で人は笑顔になれるのです


たった五文字のありふれた言葉は
人を優しくしてくれます


気遣い
そして、思いやり

それに応える気持ちが
「ありがとう」の言葉で表せられるなら
こんな簡単な事は無いはずなのに
それが難しいと言うのは
心に余裕が無いからでしょうか?

それとも
ただ、相手に甘えているだけなのでしょうか?


もっと素直になれたら良いのに・・・

(多分に自戒の念を込めて)


関わり

良い意味でも悪い意味でも
人は他人を人生の鏡として
或いは
その生き方の道標としながら生きている。

他人の影響を受けて
自ら変わる場合もあれば
知らずと変わっている場合もある。

直接か間接かはともかく
人は
他人によって支えられ
他人によって導かれ
他人によって活かされている。

時には
他人によって傷付けられたり
他人によって欺かれたりもするけど
それでも人は
他人と関わらなければ生けてはいけない。

仙人のように独り山の中に籠らない限り
人は他人との関係の中で生きるしかないのだ。

だから
例え、どんなに傷付けられたとしても
欺かれたとしても
「他人に人生を変えられた」
などと、嘆いてはいけない。

他人を否定することは自分を否定することになる。


その他人も
自分が選ぶことの出来る相手もいれば
自分では選べない相手もいる。

でも
考えようではあるけど
不要な人と言うのはいない。

相手のことをどう捉えて
そして、どう考えていくのか?

そしてそれをどう自分に重ねていくのか?

それは
あくまで自分次第なのだ。


「関わり」は「拘わり」とも書く。

つまり、”こだわり”である。

他人との関わり方は拘わり方でもあるのだ。


人は良くも悪くも
他人との関わりの中で生きている。

変わったり、変えられたりも確かにあるけど
だからこそ
相手との関わり方には拘っていきたいと思うのだ。



非生産的行為

いつもやる度に
『これは何て、非生産的行為なんだ!』
と思う物がある。


一つは冬の雪かきである。

家を建てて十八年になるが
北国北海道に住んでいて
真冬でも屋根の雪下ろしはした事がない。

それで家が潰れた事もない。

もっとも
三角屋根なので雪はすぐに落ちてしまうのだが。


確かに
一度に数十センチも大雪が降れば
人の出入りや
車の出し入れには困ることはあるかも知れないが
ここ十勝では
そんなことは年に二~三度もあれば多い方だ。

例え、大雪になったって
人くらいは出入り出来るし
駐車場だって
四輪駆動の勢いに任せて踏み固めたら
一台や二台くらいは停められる。


何が”非生産的行為”かと言えば・・・

どれだけ雪が降ったとしても
春になれば
何事も無かったかのように雪は自然と溶けるのに
しなければならない「雪かき」だ。



もう一つは庭の雑草取りだ。

確かに雑草が鬱蒼と生い茂っていると見栄えは悪い。

いくら私が
「我が家は在りのままの自然の姿を愛するので
 例え雑草と言えども
 無用な駆除は主義に反するのである」
等と、
いくらワイルドガーデンであることを主張しようが
近隣の人は
「あそこの人は不精だ」
くらいにしか思わないだろう。

そう思われたって構わないと言う覚悟さえ決められれば
雑草も冬になれば
黙っていたって枯れてしまうのだから
草取りなど
今しなくたってどうってことはないと言えば言える。

なので、これも立派な”非生産的行為”と言えるだろう。



そんな事を考えながら庭を眺めていた。


庭の草取りを始めると
家の周りもしない訳にはいかなくなり
結局、休みがほぼ一日潰れる。

確かに
庭がキレイになると気持ちも良い。

だが、
週の途中に雨が降り
その後に又、晴れたりすると
雑草の成長は目を疑うばかりに早い。

結局
又、翌週も草取りをしなければならないことになる。

こうなるとイタチごっこだ。



それにしても・・・と思う。

どうしてこうも
残って欲しい草花に限って消えてしまうのに
不要な雑草ばかりが
幅を利かせるように増えていくのだろうか?

いくら抜いてもキリが無い。

しかも
雑草と言うのは悪知恵が働くのか
カメレオンの如く
他の花の葉に同化したかのように
大事な花の間に身を隠して生えている。

雑草はエイリアンのように始末の悪い敵だ。

始めのうちは
私も慎重になって大事な花を傷付けないようにと
雑草をピンポイントで狙って取り除くのだが
やっているうちに
「あっ、やばっ! やっちまった!」
と言うことになり慌てて辺りを見回す。

うちの奴に気付かれたら
また、後門にも敵を作ることになるのだ。

私はそっと
ゴミ袋に入れた駆除した雑草の奥の方に
<それ>を押し込める。

後門の敵が気付かなけれ私の勝ちだ。

だが、気付かれれば・・・


いつしか我が家の正義のための草取りは
二つの敵と私との駆け引き勝負になっている。

何れにしても非生産的行為であることに
変わりはないのだが。



ともあれ
ようやく春になって
花が咲きだしたと喜んでいたら
もれなく
今年もまた雑草の季節もやってくる。


あ~

取るべきか?
取らざるべきか?

ハムレットのように悩みながら
結局、今年も土日の休日のどちらかを潰し
ゴミ袋を何枚も持って
庭に出動をすることになるのだろう。

非生産的行為だと分かっていながら・・・



☆もし私が家でこれをしたら家族に総スカンをくらうだろうし
 もし私が外でこれをしたら間違いなく変質者扱いされるか
 さもなければ即刻逮捕をされかねないことのいくつか☆



①犬や猫がやるから許されること


・娘の洗濯カゴに入って眠るオス猫。

・娘のベッドに潜り込むオス猫。

・名前を呼ばれても聴こえないフリをする猫。

・近くにいるメス犬に近づいてお尻の匂いを嗅ぐオス犬。

・散歩中に向こうから歩いてくる
 キレイなお姉さんに
 駆け寄って顔をペロペロ舐めようとするオス犬。




②小さな子供がやるから許されること


・「先生、大好き♪」
 と、言って
 若い女性の先生に抱きつくマセた幼稚園男児。

・お医者さんごっこ。

・「テヘペロ♪」
 と、可愛く舌を出し首をすくめ
 悪戯を許してもらおうとする子供。

・地団太を踏む。

・空気を読まない発言。




③イケメンがやるから許されること


・ナンパ。

・「今日の髪、キレイだね」
 と、言ってさりげなく女性の髪を撫でること。

・金髪&ロン毛。

・クールに囁くキザなセリフ。

・恋愛ドラマの主人公。

・女性受けをするベタなバラードを
 カラオケで切々と自分の世界に入って歌い上げる。

・かっこをつけてポケットに手を入れて壁際に立つ。




④推理作家だから考えても許されること


・人を騙すためにトリックを仕掛けること。

・アリバイ工作。

・妻に殺害願望を抱いた時
 綿密なプロットを計画し
 着実に<犯人>にそれを実行させること。




⑤若者がやるから許されるであろうこと


・破れたジーンズを履いて街を歩くこと。

・腰パン。

・オタク。

・アニメキャラのコスプレ。




⑥きっと誰がやっても許されないであろうこと


・酔った勢いで
 上半身裸、下半身黒タイツ姿の某芸人さんよろしく
 女子社員に向かってエガちゃんダイブをする中年の上司。




⑦問題外


・家族の留守中に内緒で
 ワンホールのケーキを一気喰いする野望を持っている父親。




今夜は<Photo Poem>です。。。









手を握ろう

『手の冷たい人は心が温かい』だとか

『いや、手の冷たい奴は心だって冷たいはずだ』とか

そうかと思えば

『手の温かい人はやっぱり心も温かいものだ』とか

或いは
天の邪鬼な輩ならきっとこう言うのかな?

『いや、必ずしもそうとばかりは言えない』


そんな言い方をする人がいるけど

何を根拠にそういう話しになっているのかは
実際、良く分からないところです

≪手の温度と心の温度≫

それは比例するのか? 反比例するのか?
その実際について興味はありますが
因果関係は分かりません



でも、ひとつ確かなことは

手を握った時の手の温もりで伝わるものって
そう、確かにあるんだということ



例えば一緒に歩く時


もし
その先に不安な気持ちがあったとしても
握った手の温かさを感じたら
あなたは
安心をして先に進むことが出来るでしょう



指と指を絡ませて握る

指の先をちょっと摘むように握る

五本の指を合わせて
しっかりと相手の手を握る


二人の関係によって握り方も様々あるけど
伝わる気持ちは同じです



言葉は
相手に自分の気持ちを伝える為の
もっとも有効な手段です

でも
言葉が無くても手を握ることで
伝わる想いもきっとあるでしょう



親と子供

祖父母と孫

友達同士

恋人同士

夫婦 etc・・・


二人の関係や距離によって
多少の意味合いの違いはあったとしても

共通するものは相手への愛情です



だから

握った手が温かければ
あなたはそっと受け止めれば良いのです


もし

握った手が冷たければ
あなたの温もりで温めてあげれば良いのです



その想いはきっと伝わります






最近、あなたは誰かと手を握りましたか?



地口(じぐち)

良く時代劇などで耳にする
「合点承知の助」
とか
昭和のオヤジが得意にしていた(?)
「冗談は良子(よしこ)さん」

同じく昔、流行った
「当ったり前田のクラッカー」

(今は知ってる人は少ないかな???)

このように語尾に別な言葉を付けて使う言葉遊びを
「地口(じぐち)」と言うんだそうです


駄洒落の一種とも言えるので
ともすれば

(実は私も得意なのですが)

オヤジギャグと同じように、
TPOを無視をして場違いに使うと
周りからは白い目で
冷ややかに見られることは必至です(笑)


でも、駄洒落もオヤジギャグも
時には場の空気を和ませることだってあるのです

(と、信じている私は
  紛れもないオヤジなのでしょうか?)


「地口」の歴史は古く
江戸時代には既に使われていたそうです

多分
粋な江戸っ子が
ポンポン威勢良く言っていたんでしょうね


モノの書によると
一応分類もされているらしくて

・有名な語句をなぞった
 「着たきり娘(舌きり雀)」とか

・韻を踏む事でリズムを付けたもの
 (但し、意味は無い)
 「驚き桃の木、山椒の木」

 この中にはフーテンの寅さんで有名なものもあります
 「結構毛だらけ猫灰だらけ
   けつ(お尻)の周りは・・・」

 (食事中の方に配慮(笑))

・掛詞の技法(?)を使った
 「恐れ入谷の鬼子母神」

などに分けられるそうです


このように
今でも様々な言い方が残っているのは
或る意味
庶民の逞しさの象徴なのかも知れません

貧乏を明るく笑い飛ばすのと同様に
言葉遊びが出来るには
心に余裕が無いとそうはいきません

まさに、言葉遊びとは文化人類学!?


ですから
誰かがダジャレを言ったとしても
もう冷ややかな目で見るのはやめましょう!

これは学問の追及なのです!

(えっ? マジ???)

もう見下した目で見るのはやめましょう!

(うん、うん)

これは学問の実践なのです!

(ん~、ホントかなぁ~?(笑))



その場の温度を氷点下の真冬に戻すか?

ほんわか春色に変えられるのか?

北国の五月は試してみるには良い季節です


恐れることは無い!

オヤジ達よ、さぁ!

いざ高らかに声を上げん!(笑)



何をいきなり物騒なと思われるかも知れませんが
至る所に爆発物って仕掛けられているんですよ

世の中には非武装地帯なんて無いのです

それが例え
家庭の中・・・だろうとね



爆発物にも色々な種類があります



本人が忘れた頃に爆発する時限爆弾

本人がうっかり踏むと爆発する地雷

あえて爆発させようとしてスイッチを押すダイナマイト



これらは何も
工事現場や戦場にだけあるのではありません



ほらっ

あなたの家庭にもあるんじゃありませんか?



好き好んで
爆弾を爆発をさせたい人はいないでしょうが
思いも寄らない処で爆発って起こるものです


始末に悪いのはね
やっぱり時限爆弾でしょうね

「もう、時効だな。知らぬが仏♪」

なんて、心密かに喜んでちゃいけませんよ

「知らぬが仏」どころか「知らぬは本人のみ」
なんてね

良くある話です

それにね
この手の時限爆弾のタイマーは
絶対止まったりしませんからね

それどころか
時間が経てば経つほど爆薬の量は増えたりします

もちろん
何色の線を切ったらタイマーが止まるだとか
安全だなんて
そんな保証は何処にもありません

どのみち
いつか爆発しちゃうなら
思い切って一か八か勝負を賭けてみます?


「災は忘れた頃にやってくる」

  <<<ドカーン!!!>>>

なんてのも嫌ですしね

まぁ、私ならお勧めはしませんけどね



備えあれば憂い無しと言いますが
何事も平時の処理訓練が肝心です

特に地雷なんかは避けようとすれば
いくらでも避けられるのですから

「君子、危うきに近寄らず」ってね

何を言われたって
柳のように流しときゃ良いんです

コツはね

ただ、ガマンの一途です


ダメですよ
間違っても頭に血なんか上らせたら

相手の思うツボなんですから



最悪なのは

そうですね~
やはり、自爆覚悟のダイナマイトですかね

仮に、いくら相手に非があるとしたって
余程の覚悟が必要です

共倒れならせめて報われるでしょうが
自爆だけって可能性の方が強いんですからね

何たって
相手の方が一枚も二枚も戦上手

しかも人質なんかを取られていた日にゃ多勢に無勢?

いくら最後の手段だとしたって
あまりにリスクが多過ぎます

確実に相手を一発で仕留められる自信が無いのなら
ここも黙って忍の一字ってとこでしょうかね



今夜もこの空の下

何処かの家庭で
爆発物が爆発をする機会を狙っているかも知れません


さてさて
狙っているのはどっちなんでしょう?

狙っているつもりが
すっかり相手の射程距離に入ってたりしてね


おー 怖っ!?




春の風物詩

一般的に春の風物詩といえば何でしょう?

ひな祭り、春の選抜甲子園
ピカピカのランドセルを背負った新一年生(入学式)とか
もちろん、桜の花見とか菜の花畑
地域によっては
農作業の前の畑の雪割りとか
例えばシロウオ漁が始まったとか
そんな風にその地域なりの春の風物詩ってあるんでしょうね


地域なりの春の風物詩があるのなら?

その人なりの春の風物詩なんていうのも
きっとみんな一人一人思うところが・・・?

ありますよね?

ねっ? ねっ?

(って、何の同意を求めてるんだか?)



唐突に思われるかも知れませんが

<春眠暁を覚えず>

この句はご存じの通り
中国は唐の時代の詩人
孟浩然が詠んだ漢詩「春暁」の超有名な一節ですが

”春眠不覺曉 處處聞啼鳥 夜来風雨聲 花落知多少”

 【現代語訳】
  春の眠りは心地良く、うっかり寝過ごして
  夜明けに気付かない。
  目覚めてみると
  所々で鳥がさえずっていて天気が良さそうだ。
  そう言えば、昨夜は風雨の吹き荒れる音がした。
  せっかくの花がどれほど落ちたことか


四月か五月頃
この時期になると
いつもこの言葉を書いているような気がします


芸が無いというか、ネタが無いというか?

あっ、いやいや! 決して・・・

多分・・・?


言ってみれば

この句を取り上げること自体が
私にとっての「春の風物詩」です


までも
私に限って言えば
春だけに限らないんですけどね


春夏秋冬暁を覚えず!

「どうだ、孟浩然より凄いべ? エッヘン!」

なんて、威張っちゃいられませんか?


歳を取ると人間は早起きになるっていいますが
それでいうなら
いつまでも寝ていられる私って
まだまだ若いってことでしょうか?


自慢じゃありませんが
私はいつでも何処でも誰とでも・・・

あっ、いやいや!

「寝れ!」
と、言われたら一分以内に眠れる自信があります

「寝ていれ!」
と、言われたら何時間だろうがずっと寝ていられます

とはいうものの
そこは私も人の子ですから

まぁ~ 現実には

どうしてもトイレがガマン出来なくなって
渋々と起きちゃうんですけどね

それに最近は寝過ぎるとどうも腰が痛くなって・・・

あっ、いやいや!

これは読まなかったことに!


そうそう、定番の春の詩と言えば

<枕草子>の序文にこれもありますね

”春は曙。やうやう白くなりゆく、山際少し明りて、
 紫だちたる雲の細くなびきたる”

 【現代語訳】
  春は曙が良い。
  徐々に白くなっていく山際が少し明るくなって
  紫がかった雲が細くたなびいている


北国に住んでいる人間にとって春は喜びです

冬の間は朝の六時というと
まだまだ外は暗いのですが
春の訪れと共に夜明けも早くなっていきます

なので

普通であれば「春は曙」と言うことになるのでしょう

冬のそれに比べれ春の陽射しは穏やかで暖かくて
朝の風景なんてそれはもう爽やかそのものですからね

寝ているなんて勿体ないです

普通であれば?


でも、いや・・・だから?

春の朝は気持ち良くて
そこをわざわざ早く起きるなんて
その方が勿体ない?


春はまどろみの中で
まったりと惰眠をむさぼる

やっぱ、これでしょ?

ロッテのトッポ♪

あっ、いやいや!
CMなんて歌ってる場合じゃ・・・



《天の声》 ”ダミンじゃ(ダメだ)こりゃ!”




と、オチがついたんだかどうなんだか

それはともかく
何の予定もないまま惰眠をむさぼった
四連休も終わり
また、普通の毎日が始まります

さっ、また明日から夜更かし頑張ろうっと♪


ん? あれっ?



冬は見慣れていた薄灰の空も
この季節にはもう懐かしくさえ思える

見上げれば
まだ葉を持たぬ白樺の大木が
春を目掛けて思いっきり延ばした枝に
薄灰の空はまるで
白い花を咲かせているかのように拡がる

やがて
白樺の大木に本当の若緑の葉が満ちる頃には
空の色も青を深くしていくだろう


一陣の南風が吹くたびに
野は緑に空は青に色を染めていく

冬の色はやがて、春の色に

当たり前のように移り変わってゆく季節の糸目

だが、それは決して当たり前などでは無い

昨日があって今が有るからこそ
それらに巡り逢えるのだ


今この瞬間も季節は確実に色を変えている

だが
見えている色は人によって必ずしも同じとは限らない

しかし
今見えている色などどうでも良いことなのだ

幸福も不幸も
明るい色も暗い色も
明日も昨日も
全ては
今この瞬間に繋がっている運命の連鎖に過ぎないのだから


季節が変わるように時が流れてしまえば
どんな風景もやがては懐かしい風景に変わるだろう

今この時に諦めてしまわなければ
又、いずれ次の季節の糸目を見ることも出来る


今見ている色
見えている色は決して普遍的なものではない

気持ちひとつで何色にでも変るのだ

例え、昨日がどうだったにしても
今日がどうでも


やがて来る明日・・・

その時に見える色を想像してごらん





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